NEXCOはQuartzComposerでヒラギノフォントの夢をみるか。

正月休み。TVで恒例の高速道路I.Cの渋滞映像を眺めていたら、ふと思い出したニュースがある。高速道路の案内標識に長年親しまれてきた書体が「ヒラギノ」に変わるというものだ。

asashi.com – 高速道路の標識、「ヒラギノ」書体に iPadと同じ

従来用いられていた書体は「公団ゴシック」という名称で親しまれており、昭和30年代当時のモダンな雰囲気を醸し出す味のある書体だ。
今回の改定に至った経緯は、過剰な略字であったり、新たな文字を製作する際に属人性が高すぎる為に統一感に欠けるいった理由なのだそうだが、未だ根強いファンも多く、収集したり個人で制作したりする人が後を絶たない程の人気ぶりだ。興味のある方は下記を一読頂きたい。

@nifty – デイリーポータルZ:高速道路フォントめぐり
高速道路の文字を再現しよう GD-高速道路ゴシックJA-OTF

次にバトンタッチされた「ヒラギノ」は、先のニュース記事にはiPadと同じなどと記載されているが、実はかなり以前からMacOS Xに標準で搭載されている日本語フォントだ。そこで、早速手元のフォントを使って一足早めにI.C案内標識をつくって雰囲気を確認してみよう。

今回使うのは、Macを購入するとオマケ的な感じで付いてくる開発ツールQuartzComposerだ。映像制作を目的としたツールでありながら、その制作過程において、視覚的なプログラミング要素を取り入れており、非常にユニークなツールだ。個人的にはその革新性溢れる感じが大好きなのだが、世間的に存在感が薄いのでここで簡単に紹介しよう。

百聞は一見にしかず。この画面がQuartzComposerの編集画面だ。パッチと呼ばれる部品(関数)を空間に配置し、それぞれのパッチにパラメータを設定した上、各パッチ間の入出力を配線する方法でプログラミングを行う。まるで、オーディオ機器の配線しているような感覚で編集を行うとリアルタイムに反映されるのがこのツールの特徴だ。また、つくったものはQuartzComposer以外にも、スクリーンセーバーやミュージックビジュアライザ、勿論、ムービーとして出力したりして楽しむ事が可能だ。

他、材料は以下の2つ。

  • I.C 案内看板 下地画像:こんな感じ!?

  • I.C 名称:今回は個人的に最もよく利用する東名高速の全I.Cのテキストデータ。

上記2つをQuartzComposerで調理するのだが、下準備としてI.C名称テキストをJavaScriptの配列変数定義(JSON形式でも可)を事前にご用意頂きたい。というのも、QuartzComposerは視覚的プログラミングを標榜しながら、パッチ内部の処理にチャッカリと手続き型のJavaScriptも記述できるので、お互いの良い点を生かしつつ融通が利くのだ。

早速、先述の配列から一要素を取り出し、下地画像と名称を合成してみると以下のような感じになった。

I.C名称箇所には、もちろんヒラギノ角ゴシックを指定。しかし、フォントのウェイトが実際の高速道路標識で使わているW5がOSに入ってなかった為、今回はW3を指定した。番号についても、単に下りに向かって昇順連番という訳ではないらしいので、取り敢えず、デバッグ用に変数のインデックス値を割当ててあるが、そこはご勘弁を。※.後で何か足りないと思ったら。ローマ字表記だ。(汗

では、早速今回データを用意した東名高速の路線を西へと下ってみよう。上部フロー図(見づらいが拡大可)の様に、実際にはタイムパッチから経過時間を取り出して、JavaScriptパッチ内に定義した配列から文字列要素を時系列順に取得。最後に描画用のパッチ群に流し込む処理となる。

これが一応、東名高速I.C 案内標識 ヒラギノフォント版となり、次にコレを使ったスクリーンセーバーの制作に!と行きたいところなのですが、締め切り(既に過ぎてる!?)の関係上、今宵はココまでとさせて頂きます。

続きは次回、応用編として、LFOパッチ等を使って「走行感を出す」にてスクリーンセーバを制作し公開まで、お送りする予定です。

まとめを簡単なムービーに収録しました。

尚、用途としては以下の様な楽しみ方も出来る!?

  • あの名曲「中央フリーウェイ」をBGM(自前で用意)に中央自動車道版のI.C案内標識をより走行感豊かに表示し、エアドライビン!
  • GD-高速道路ゴシックJA-OTFを利用して、亡き「公団フォント」を偲ぶ

というわけで、半分以上プログラミングと関係ない世間話に終始してしまいましたが、アイディアを形にする段階において、プロトタイプの制作にスピードは不可欠。OpenGL等でゴリゴリ書くとなるとかなりのボリュームだし、スキルも必要になるが、それに比べると、繋げるだけ(書かない)というプログラミングアプローチは容易である。少々制約を覚悟すれば、プロトタイプ制作には向いているかも。

一風変わったプログラミング。楽しいので、機会があれば是非お試しあれ。

では、またお会いしましょう。

投稿者: HK

think different.